21 健常児と障がい児が関わる時間を増やすインクルーシブ教育の拡大と医療的ケア児や重症心身障害児を受け入れる保育制度を求める陳情
令和元年9月10日
【陳情の趣旨】
昔なら死んでいた子どもたちが近年の医療の発達で呼吸器や胃ろうなどの医療の力を借りながら生きられるようになりました。私たちの子どもは医療的ケア児です。医療が発達して命は助かったけどその先の生活が成り立たない、これが現状です。
知的にも体の動きにも障がいはなく、歩いたり食べたりできるが呼吸疾患で気管切開をしているような動ける医療的ケア児は大人になって、いつか仕事に就くでしょう。そのためには健常児と同様に小学校、中学校、高校、大学等で勉強をして自立する必要があります。今の制度でこの子どもたちが大人になり自立し人生をどう送るのか想像できますでしょうか。それぞれのステージが必要です。今現在もこのような子どもたちは、子ども同士の社交性を身に付ける場所がなく家にこもり、親が24時間医療的ケアを行っているのが現実です。本来、子ども同士の世界の中で社会性を身に付けていく多感なこの時期に、家の中の世界だけでは成長に影響があるのは確実です。
障がい者は障がい者同士の社会を築き、健常者は健常者同士の中で社会をつくるのでしょうか。それは今までのやり方ですが、今後の日本の在り方、多様性を認め合う世の中とはかけ離れたものです。江戸川区では2年前から健常児と障がい児が同じ時間を共有する活動が始まったと聞いています。これから更に障がい児も増えていく中で、健常児と障がい児が同じ空間で生活することは両者にとって人格を形成する過程でとても大切になると考えています。
いじめ問題は自分たちと違う人を標的にするところから始まります。自分と違う人を受け入れること、マイノリティーを受け入れること、それが未来の日本人に必要だと感じています。脳性麻痺を抱えた子どもも、子ども同士の中に入ることで急に成長がみられるようになったり、健常児も障がい児と小さいうちから一緒にいることで当たり前のように遊んだり理解を示したりと、実際に取り組んでいる学校や団体の子どもたちをみると両者にとってインクルーシブ教育はとても大切なことがわかります。
障がい児を別のクラスで教えるのではなく、一般のクラスの中にまぜて同じ授業を受ける時間があること、給食や各行事の日常の暮らしを共にすることがとても重要だと考えます。多様性を理解し、受け入れることがとても大切な時代です。すべての時間でなくても一緒に時間と場所、生活を共有できる環境を整えその時間が増えていくような仕組み作りが必要です。
また、障がい児の親にも働きたい意思があります。働かなくては生活が成り立ちません。そして子どもたちにとっては家にこもるよりも、他の子どもたちと一緒に生活することが、その後の成長に大きく影響します。デイサービスに預けても時間的制限で働きに出ることが難しいです。江戸川区では3〜4カ所の保育園で受け入れが始まっているそうですが、足立区においても医療的ケア児を預けられる保育園・学校等が増えなければ私たちのような家族は減りません。また保育施設でも痰の吸引、経鼻栄養、胃ろうへの注入などの医療的ケアを看護師だけでなく保育士が行えるようなシステムを作るか、充分な看護師の配置を要望します。
つきましては、貴区議会に下記のとおり陳情いたします。
【陳情項目】
1.健常児と障がい児が関わる時間を増やすインクルーシブ教育を保育園・幼稚園・小学校・中学校で拡大するよう求めます。
2.医療的ケア児や重症心身障害児を受け入れる保育施設を設置し、痰の吸引、経鼻栄養、胃ろうへの注入などの医療的ケアを看護師だけでなく保育士が行えるようなシステムを作るか、充分な看護師の配置を要望します。