議員提出第12号 生態系への影響が深刻化するプラスチックごみ対策の強化を求める意見書
プラスチックごみによる海洋汚染が年々深刻化していることに伴い、欧州各国を中心に使い捨てプラスチック製品の規制に向けた動きが強まる中、今年6月のG20大阪サミットで採択された「大阪首脳宣言」では、2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の共有が盛り込まれた。
国連環境計画(UNEP)の推計によれば、プラスチックごみの廃棄量は年間3億トンに及ぶとされ、そのうち800万トンが海に流入しているといわれる。このまま推移すれば、2050年にはプラスチックごみの廃棄量は現在の約4倍に増大し、海洋プラスチックごみの総重量が海にいる魚の総重量を上回るというショッキングな推計も示されている。海に流出して5ミリ以下になったマイクロプラスチックは海洋生物に深刻な被害をもたらすだけでなく、人体への影響も懸念されている。
日本のプラスチック生産量は世界第3位で、さらに1人当たりの使い捨てプラスチックごみの廃棄量は世界第2位の多さであり、この問題に国際的な責任を果たすべき立場にあるが、その対策は立ち遅れている。回収した年間150万トンのプラスチックごみを「資源」という位置づけでアジア諸国に輸出して処理を委ねてきたが、中国が輸入規制を始めたことや、バーゼル条約が改定されたことで、汚れたプラスチックごみについて相手国の同意のない輸出が禁じられることになったため、これまでの処理対策を根本から見直さざるを得なくなっている。
国際社会では、増え続けるプラスチックごみ問題への対策として、使い捨てプラスチック製品の製造・流通・販売の規制に踏み込み、生産・使用そのものを削減する流れが広がっている。しかし日本では、規制は設けられておらず、削減の取り組みは企業の自主努力任せとなっている。日本がプラスチックごみの排出量を減らしていくためには、廃棄・リサイクル段階のみならず、製造・流通・販売の各段階においても実効性ある施策を進めるための法整備が一刻も早く求められている。
よって、足立区議会は国会及び政府に対し、プラスチックごみ対策を強化するため、下記事項の実現を強く求めるものである。
記