56 セシウム137をはじめとする放射性物質による土壌汚染状況を明らかにし、足立区として被ばく防護策と健康対策の総合的な方針の確立を求める請願
平成27年11月20日
土屋 のりこ
【請願趣旨】
11月13日付報道によれば区内で、高線量地点が市民の測定により発見され、7か所も除染が行われたということです。これは、福島原発事故により環境中に放出された大量の放射性物質は広く首都圏にまで及び、降下沈着していることを示しています。放射性物質の主流を占めるセシウム137は半減期が30年であり、環境中からなくなりません。除染したとしても、放射性物質を消したことにはならず移動させただけです。放射性物質は、現在もなお福島原発より汚染水や解体廃炉作業によって環境中に放出されています。放射性物質は人間の命と健康をむしばむ毒です。毒物が区内にまき散らされて、潜んでいると見なければなりません。
今回の高線量地点間題は氷山の一角で、同様の高線量地点は多くあると考えるのが相当です。なぜなら、区当局は限られた場所で地上1mの空間線量を測定するだけであり、これでは正確な汚染状況はつかめないからです。放射線をだす放射性物質そのものを測定して、正しい汚染状況を把握しないと区民の被ばくからの防護はできません。
足立区は、放射性物質による土壌の汚染状況を測定し、セシウム137など核種ごとに汚染状況を明らかにしてください。また、国や専門機関のデータから足立区の放射性物質による土壌汚染の推計値も明らかにしてください。
チェルノブイリ原発事故(1986年)に対して、ウクライナ政府は放射能汚染の状況を土壌汚染(単位はキューリ、またはBq)と空間線量(単位Sv)の双方から調べ、放射線被ばく防護、健康・医療対策を細かく行っています(いわゆるチェルノブイリ法)。このチェルノブイリ基準に照らすならば、土壌汚染では1キューリ/㎢=約37000 Bq/u、空間線量は年0.5mSv以上は「汚染地域」とされ、居住は可能だが被ばくの健康診断を受ける地域とされます。足立区はこれに該当してしまいます。足立区の実際はどうなのでしょうか、土壌汚染の測定及び推計を明らかにしてください。そして、区民の命と健康を守る放射能健康診断など総合的な対策を行ってください。
年1mSv(累積100mSv)の低線量被ばくでも健康被害が出ることがさまざまな研究で明らかになってきています。被ばくにはこれ以下なら安全という閾値はありません。福島事故からもうすぐ5年を迎えようとする今、区内の土壌汚染状況を正確に把握して、被ばくから区民を守る対策をお願いします。