10 都立江北高校定時制の募集停止の決定を拙速に行わないことを求める意見書を東京都に提出することを求める陳情
平成30年5月31日
【陳情の趣旨】
「都立江北高校定時制の募集停止の決定を拙速に行わないことを求める意見書」を足立区議会として関係する東京都に対し提出してください。
【陳情の理由】
東京都教育委員会は、昨年10月12日の定例会で、都立江北高校定時制(足立区)を、今年4月から募集人員を2クラス(60人)から1クラス(30人)に絞り、「都立高校改革推進計画による新たな学校の設置等のため、平成31年度の募集を停止する予定である(平成30年10月頃決定予定)」と発表しました。同時に、足立区小台にある荒川商業定時制(商業科)も平成31年度に「募集停止」とする一方で、荒川商業の敷地に、9学級(各学年)、全校36学級(1,080人)規模の3部制のチャレンジスクールを2022年に開校するとしています。
都教委は、これまで「チャレンジスクールの新設や、チャレンジスクール及び昼夜間定時制高校の夜間部の規模拡大を行うとともに、その整備の進捗や夜間定時制課程の募集倍率の推移などの状況を考慮しながら、一部の夜間定時制課程を閉課程にする」と繰り返し説明してきました。
しかし、夜間定時制は、さまざまな事情で全日制に入れなかった生徒たちの「学びのセーフティネット」であり、その大切な学ぶ機会を奪うことになりかねません。チャレンジスクールについては、多様な困難や課題を抱えた生徒たちに個別で丁寧な対応をする夜間定時制とは性質が異なり、代替できるものではありません。さらに、江北高校定時制は、69年の歴史と伝統を持ち、一昨年からは就労に対する興味や関心を引き出すことを目的に、4年時で独自の「キャリアデザイン」という科目を設置し体験学習等を行い、近隣にある城東職業能力開発センターと連携し、センターの訓練科目の内容を体験できるなど、特色ある授業を実施しています。
そのうえ、国(文科省)が、新たな夜間中学の設置を全国で促進する方針を発表し、その理由が「様々な事情で義務教育未終了の学齢経過者や本国において義務教育を修了していない外国人等の就学機会の確保に重要な役割を果たしており、さらに今後、不登校等により実質的に十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した者の受入れという役割も期待される」からだとしていますが、その卒業後の受け皿として、夜間定時制高校の役割はますます重要となっています。
とりわけ、足立区は、中学の不登校が23区で最多なうえに、今後さらに子育て世帯の流入による人口増も見込まれており、今後の夜間定時制高校のニーズは増える可能性もあります。
しかし、東京都では、かつて都内で100校を超えていた定時制高校が、半分以下の40校台にまで減り、さらに今回の江北定時制も含め4校を閉課程にする計画です。これ以上定時制高校を閉課程にすることは、さまざまな要因によって全日制に入れない生徒たちや、学ぶ機会を逸した人や、学び直しをしたい人など、本来は、夜間定時制を選択肢としてもよいはずの人たちの行き場を狭めることになりかねません。
以上の理由から、足立区議会として東京都に対し、「都立江北高校定時制の募集停止の決定を拙速に行わないことを求める意見書」を提出されるよう陳情します。