25 子どもの貧困対策として若者支援策の策定を求める陳情
平成30年11月21日
【陳情の趣旨】
子ども期だけではなく、大学生・専門学校生等や、高等教育を離れた若者世代等の間にも貧困は存在します。若者世代に対する支援策を子どもの貧困対策に位置付け、早急に支援策を策定してください。
【陳情の理由】
若者世代をとりまく環境は厳しさを増し、高等教育の学費高騰や雇用の不安定化・低賃金化など、経済状況は悪化しています。年齢の高い若者ほど貧困率が高くなる推計データも出されています。しかし、若者への支援は労働政策に位置付けられる程度で、地方自治体においてほとんど支援策がとられていない状況です。
大学生等の学生ならびに高等教育を離れた若者を取り巻く状況はどうでしょうか。
学びの機会を保障して人生を支援するはずの奨学金が、事実上学資ローンと化し、その返済が利用者の大きな負担となって、苦しい状況に更に追い打ちをかけ、結婚や出産など人生の大切な選択をも制限する事態を招来しています。
国立大学の授業料値上げの動きがあります。これまで横並びできた国立大学が、授業料値上げを打ち出しました。足立区内にもキャンパスを擁する東京藝術大学は、10月26日、これまでの標準額53万5,800円から省令の許容する最上限である64万2,960円へ、10万7千円もの値上げをおこなうと発表しました。国立大学にとどまらず、他の私立等への大学をはじめとする高等教育機関へと授業料値上げの波が波及することが予想されます。足立区が他区に先駆け新設した奨学金返済補助事業も、学費値上げの大波に飲み込まれてしまえば、相殺され、効果を失うことを懸念します。
こうしたことの若者への影響を緩和し、若者の貧困をなくす支援策を検討することが必要だと考えます。調布市ではステップアップホーム事業として、施設や里親を出た学生・社会人への家賃補助制度を創設しました。また、生活支援給付金として、学生がアルバイトだけに追われないように、生活費の一部を補助する支給も始めました。
生活への支援や、住居支援、そのほか、諸外国の青年支援事業の中にも参考とすべき事業の実施例は多々あります。足立区としても、若者への支援策の先行事例を調査してください。
民間の取り組みはそれはそれで手厚く支援し、足立区には公的な機関として独自の支援策を行っていただきたいと考えます。
貧困は、苦しみを伴います。苦しい状況におかれている足立区内の若者たちへ目を向けていただき、想像力をはせ、子どもの貧困対策として若者支援策を位置付け、実施していただくよう、求めます。