2 区民の平等性を著しく欠く「区民葬儀における新たな助成制度」に関する陳情
令和8年3月16日
【陳情の趣旨】
令和8年1月16日に公表された「特別区区民葬儀における新たな助成制度」について、行政サービスの根幹である「公平性」および「福祉的意義」の観点から以下の看過できない問題があり、改善を求めるものです。
【陳情の理由】
1.「住民平等の原則」に反する制度設計
本制度は、火葬料金の負担軽減を目的としながら、その受給要件を「区民葬儀券(祭壇券または霊柩車券)の利用者」に限定しています。火葬は区民生活に不可欠な公共的行為ですが、本制度では、特定の葬儀業者(区民葬儀取扱業者)を利用した区民のみが助成対象となり、それ以外の業者を利用する区民は、同じ税金を負担し、同じ火葬場を利用しても、一切の助成を受けられません。税金を活用しながら選択する民間業者の違いによって差別的に運用されることは、行政の公平性を著しく損なうものです。
2.区民の自由な選択権の侵害
東京博善が公表した2024年度の実績データによれば、同社の火葬場を利用する全葬儀社のうち75.4%が区民葬儀を取り扱えない事業者(非組合業者)です。つまり、多くの区民が利用している葬儀社の4社のうち3社以上が、本助成制度の対象外となります。「助成金を受け取りたければ、指定されたごく一部の特定の業者(全体の25%未満)を使わなければならない」という仕組みは、区民から葬儀社を自由に選ぶ権利を実質的に奪うものであり、特定業者への不当な誘導と言わざるを得ません。
3.公金支出の妥当性の欠如
特別区長会は、本制度に関する広報資料(令和8年1月16日付)において、「火葬場はその経営主体に関わらず、公共的な役割を担っており」と明言しています。行政自らが、経営主体(民間企業か否か)に関わらず施設の「公共性」を認めている以上、その利用に対する助成制度自体もまた、利用者が契約する葬儀社がどの団体に属するかに関わらず、「公共的」かつ普遍的に運用されるのが論理的帰結です。「施設は公共的である」と定義しながら、その支援策においては特定の民間団体(区民葬儀取扱業者)の利用を条件とする二重基準は、行政自らの主張と矛盾しており、公金支出の妥当性を根底から損なっています。
4.制度本来の目的(低所得層への救済)との乖離
本来、区民葬儀は経済的に困窮する世帯への救済的・慈善事業的な側面を有する制度であるはずです。しかし、前述の通り、東京博善を利用する業者の75%以上が本制度を使えない現状においては、真に支援を必要としている生活困窮層であっても、情報不足や近隣に取扱店がない等の理由で、対象外の業者を利用せざるを得ないケースが多発します。「使える業者が全体の2割強しかない」という現状は、結果として「本当に生活に困っている層へ助成金が行き渡らない」という事態を招き、制度本来の意義を形骸化させるものです。
【陳情項目】
1.取扱業者を限定した、区民の平等性を著しく欠く「区民葬儀における新たな助成制度」を改めるよう特別区長会で働きかけてください。
2.区として区民の平等性を担保するために、対象外の業者を利用した区民に対し、支援を行ってください。