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議案名

29 福祉事務所における生活保護受給者の転居手続に関して標準化を求める陳情

受理日

令和8年10月9日

付託委員会

付託委員会
厚生委員会
付託日
令和8年10月20日

本会議議決結果

議決結果
継続審査

紹介議員

内容

【陳情の趣旨】
 福祉事務所における生活保護受給者の転居手続について、受給者が必要な手続きや遵守事項、福祉事務所と受給者それぞれの役割、各種費用の支給スケジュール等を事前に把握し、見通しを持って円滑に転居できるよう、手続きの標準化を図ることを求めます。
1.転居に伴う遵守事項、手続きの流れ、利用可能な扶助・制度、必要な届出等を網羅した「受給者向け転居手続案内」を作成し、転居の相談または転居の必要性が認められた際に交付すること。個別の事情によって取扱いが異なる事項についてはその旨を明記し、必要に応じてケースワーカーが補足説明を行うこと。
2.転居手続において受給者が対応すべき期限や、福祉事務所による支給・出金等の予定について、受給者が事前に把握し、必要な準備や調整を行えるよう、請求書の必着日、初期費用の振込予定日、家具什器費の申請期限、転居届の提出期限等を、書面により提示すること。
3.福祉事務所側の事務処理や連絡・調整上の事情によって生じる問題について、受給者に多額の現金の運搬や金銭の立替え等を求めることなく、福祉事務所が必要な連絡・調整を行い、受給者に過度な負担が生じないよう対応すること。
4.転居に伴い医療券の住所情報に変更が生じる場合について、医療券の住所変更時期や新住所の記載方法、医療券の記載内容を変更できない場合の医療機関への連絡方法等の対応手順を明確に定め、転居する受給者に対して統一的に運用すること。
5.福祉事務所の対応について不備や苦情がある場合に相談できるよう、足立区の相談窓口、東京都の生活保護担当部署、審査請求等の不服申立て制度、その他利用可能な第三者相談機関について、連絡先、相談方法及び所管を「生活保護のしおり」等に明記すること。
【陳情の理由】
 足立区では「転居に関する手順等をまとめた統一的な資料は受給者に配布していない」との説明を受けています。
 しかし、転居は住居だけでなく、医療、生活費、各種契約にも関わる重要な手続きです。担当者によって説明内容や説明時期に差が生じるおそれがあり、受給者が必要な手続きや期限、利用できる制度等を正確に把握することが困難となる場合があります。
 実際、私の事例では、初期費用の着金スケジュールや利用可能な制度等について十
分な説明がないまま手続きが進みました。その結果、問題を解決するために、受給者である私が金銭的・身体的・精神的な負担を負うことになりました。
 担当者ごとの説明に依存する運用では、今後も同様のトラブルが再発するおそれがあります。すべての受給者が必要な手続きや役割分担を事前に把握し、公平・安全・円滑に転居手続きを行えるよう、福祉事務所における運用の標準化を求めます。
【陳情に至った具体的事例】
 以下は、陳情者本人が転居する際に経験した事例のうち、今回の陳情に関係する主な出来事を時系列でまとめたものです。
・令和7年12月12日:受給者が希望物件の図面を提出
・令和7年12月22日:ケースワーカーから転居了承のメール(詳細な説明はなし)
・令和7年12月24日:ケースワーカーから受給者へ、初期費用の着金予定日及び請求書の必着日が示される
・令和7年12月25日:ケースワーカーから仲介業者へ、初期費用の着金予定日及び請求書の必着日が連絡される
・令和8年1月5日:ケースワーカー不在のため、受給者が査察指導員にメールを送信。初期費用の現金交付が提案された。
・令和8年1月8日:受給者が窓口で約38万円を受領し、業者へ振込。振込手数料を受給者が負担
・令和8年1月13日:入居契約を締結し、鍵を受領
・令和8年1月15日:引越し作業
・令和8年1月21日:受給者が医療機関の窓口で、住所変更について説明
・令和8年1月29日:受給者が区長宛ての「区民の声」に苦情を申し立てる
・令和8年2月6日:福祉事務所の課長から回答メール
・令和8年2月7日:受給者が反論メールを送信
・令和8年2月16日:ケースワーカーから回答メール
 以下、具体的な経緯と問題点を、各陳情項目に関連づけて説明します。
※メール、配布資料、領収書その他の関連資料を保管しており、必要に応じて提出可能です。
1.説明不足
 12月12日に希望物件の図面を提出し、22日に転居の了承を得た。しかし、ケースワーカーからは、初期費用の支給日や引越しの相見積もりの提出など転居手続き全体の流れについて、資料の配布や具体的な説明がなかった。そのため、受給者は必要な手続きを自ら調べなければならなかった。
 1月5日に査察指導員へ相談した時点で、請求書の必着日は同月6日、初期費用の着金日は同月9日、入居・契約日は同月13日、引越し作業は同月15日を予定していた。受給者は転居手続きの全体像を把握できておらず、転居に加え、弁護士への依頼、自立支援医療の提出、住民票の閲覧制限など、ほかの重要な手続きにも支障が生じるのではないかという不安を抱えていた。
 また、同月5日には、解約予告期間中の家賃や火災保険の解約返還金など不明点をケースワーカーに質問したが、回答は7日だった。
 1月29日に区長宛ての「区民の声」で苦情を申し立てたところ、2月6日、福祉事務所の課長から「転居手続きに関する画一的な資料は配布していない」との説明があった。また、課長からは、次のとおり回答があった。
 「転居手続きは問題なく進んでいると認識していたため、不要なご連絡を差し上げる必要はないと判断しておりました。年末年始を挟む時期でもあり、(受給者)様に先行きの不透明さによるご不安を感じさせてしまった点につきまして、配慮が至らずお詫び申し上げます。」
 この回答からは、転居手続きが進んでいるというケースワーカーの認識をもとに、受給者への情報共有の要否が判断されていたことがうかがえる。しかし、受給者にとっては、手続きが進んでいるかどうかだけでなく、今後の手順や必要な書類、提出期限、費用の支給日などを事前に把握できることが重要である。
 ケースワーカー個人の判断に委ねられている場合、受給者に共有される情報や説明の時期に差が生じるおそれがある。受給者が見通しを持って必要な手続きを進められるよう、転居手続き全体の流れに加え、遵守事項、利用可能な扶助・制度等を書面で説明する運用が求められる。
2.重要な日程の共有遅れ
 転居を円滑に進めるには、初期費用の出金スケジュールや請求書の提出期限などを事前に把握し、それを踏まえて仲介業者と受給者が契約日を決定し、引越し日を調整する必要がある。
 しかし、今回は出金スケジュールの共有が遅く、契約日を決定するために必要な情報を受給者や仲介業者が事前に把握できなかった。その結果、受給者は仲介業者や引越し業者との日程調整を繰り返すことになった。時系列は以下のとおりである。
 12月23日、仲介業者から「ケースワーカーも年明けの出金スケジュールがまだ見えていないため、年明けいつから入居可能かも設定出来ない状況」との連絡があった。
 12月24日、受給者は、引越し業者の相見積もりをケースワーカーに送信した。その返信として、初期費用の着金予定日と請求書の必着日を知らされた。なお、この時点では入居契約日は確定しておらず、受給者は引越し業者に1月13日前後の日程で仮押さえを依頼した。
 ケースワーカーから仲介業者へ初期費用の着金予定日と請求書の必着日が共有されたのは、翌日25日だった。同日、受給者が仲介業者に連絡したところ、仲介業者から、契約・入居までの手順について以下の説明があった。
「入金日以降でないと入居が難しいです。
 1月9日〜が最短ですが、年末年始で先方様の営業再開日を聞いてご報告を致します。流れで言うと
・管理会社へ家賃発生日報告
・OKであれば精算書発行
・福祉事務所確認・精算書送付
・後日契約金支給
・契約
・入居
となります。」
 12月26日から27日にかけて、受給者は仲介業者と日程について話し合い、1月13日に入居契約を行うことが決定した。これに伴い、引越し日も1月15日に変更した。
 課長からは、最短の着金日を1月9日としたことについて、「12月24日に提出された引越しの見積書に記載されていた転居希望日である1月13日から逆算したもの」との説明があった。
 しかし、1月13日は、あくまで引越しの見積もり作成時に提示した転居希望日であり、12月24日時点で入居契約日が確定していたわけではない。実際には、初期費用の着金予定日が示された後、仲介業者との調整を経て、12月27日に入居契約日が決定している。
 転居に伴う契約や引越しの日程を受給者と関係業者が適切に調整できるよう、初期費用の出金予定日や請求書の提出期限などを、可能な限り早い段階で書面により提示する必要があると考える。
3.受給者による金銭の運搬・振込
 1月5日、査察指導員から、初期費用の現金交付、受給者の自己負担分と合わせて仲介業者へ振り込む方法が提案された。
 受給者は多額の現金を持ち運ぶことに不安を感じたため、自己負担分を福祉事務所に渡し、初期費用と合わせて福祉事務所で振込処理をしてほしいと依頼したが、断られた。その後、受給者は来所を了承し、「予定があるため16時頃に向かう」と伝えた。
 1月8日、受給者は福祉事務所の窓口で約38万円の現金を受領し、同日17時頃に仲介業者へ振込を行った。仲介業者への着金は翌営業日の1月9日となり、振込手数料は受給者が負担した。
 課長からは、現金交付を提案した理由について、「不動産仲介業者から自己負担分と合算して支払ってほしいとの要請を受け、振込みよりも1日早くお渡しできる方法として現金交付を提案した」と説明を受けた。福祉事務所による代理振込を断った理由については、「福祉事務所職員が受給者から金銭を預かる等の出納業務への関与を縮減する旨の通知があるため」と説明された。
 しかし、実際には、1月8日に現金を受領して振込を行っても、仲介業者への着金は翌営業日の1月9日であり、現金交付によって着金が早まったわけではなかった。そのため、受給者が福祉事務所まで出向き、多額の現金を受け取り、仲介業者までの振込手続きを担う必要性は明確ではなかった。
 また、福祉事務所が受給者から自己負担分を預かることが難しいのであれば、受給者に多額の現金の運搬を求める以外の方法について、福祉事務所が仲介業者と調整することも検討できたのではないかと考える。
 福祉事務所側の事務処理や関係業者との調整上の事情によって、受給者に多額の現金の運搬や不要な金銭的負担が生じることのないよう、関係業者との調整方法や、受給者に過度な負担を生じさせないための対応手順を明確にする必要がある。
4.医療機関への共有不足
 1月21日、受給者が歯科医院を受診した際、医療券に記載された住所が旧住所のままだったため、窓口で自ら住所変更の事情を説明した。同日、ケースワーカーに対し、新住所での医療券の発行、または備考欄への新住所の記載を依頼した。
 1月22日、ケースワーカーから「システム上、住所は変えられないので、なにかあったら福祉事務所に電話ください」との回答があった。医療機関への事前連絡など、受給者が窓口で事情を説明せずに済むような対応は行われなかった。
 受給者はうつ病を抱えており、公的書類に記載された住所と実際の住所が異なることで、医療を受けられなくなるのではないかという強い不安を感じていた。また、他の患者にも聞こえる場所で、自身が生活保護を受けていることを説明することにも抵抗があった。
 2月6日、福祉事務所の課長から「移管処理の関係で新住所への即時反映は困難である」との説明を受けた。一般的な対応として「医療機関側へ電話等で状況を説明している」とのことだったが、今回は事前連絡が行われなかった理由について説明はなかった。
 課長からは「システム担当者と協議を行い、移管前ではありますが、今後は、新住所を記載した医療券を発券させていただきます」との説明もあった。しかし、この対応が他の受給者にも適用される標準的な運用なのかは明らかにされなかった。
 受給者が同様の負担を負うことのないよう、医療券の住所を変更する時期、備考欄への新住所の記載の可否、医療券の記載内容を変更できない場合の医療機関への連絡方法など、具体的な対応手順を明確にし、統一的に運用する必要があると考える。
5.苦情に関する対応
 1月5日、ケースワーカーが不在だったため、受給者は査察指導員へ転居手続きに関する改善要望をメールで送付した。しかし、その後も転居手続きに関する不備が続き、ケースワーカーが対応すべきことと、受給者自身が対応すべきことの区別が明確でなかった。そこで、担当職員以外に相談できる窓口を探し始めた。
 1月29日、区長宛ての「区民の声」により苦情を申し立てた。2月6日、福祉事務所の課長から回答を受けたが、保管している資料に記録された経緯と一致しない内容が含まれていた。また、改善策についても「丁寧なコミュニケーションを心がける」といった説明にとどまり、具体的な運用の見直しは示されなかった。
 2月7日、受給者は事実関係を記載したメールを送付したが、2月16日、ケースワーカーから「区の見解は変わらない」との回答を受けた。その結果、運用改善について改めて相談するため、相談先を探すことになった。
 同日、総務省東京行政評価事務所行政相談課に相談した。同事務所からは、行政相談は担当行政機関とは異なる立場から行政への苦情・意見・要望を受け付ける制度である一方、関係行政機関を指導・調査する権限はないとの説明を受けた。
 2月21日には、足立区福祉まるごと相談課へメールを送り、調査権限のある部署への引継ぎを依頼した。さらに、東京都福祉局にもFAX及びメールで相談したが、10月8日時点で回答を受けていない。このように、担当職員への相談や区への苦情申立てを経ても運用改善に関する問題が解消されず、相談先ごとの役割や権限を確認しながら、受給者自身が相談先を探す必要が生じた。福祉事務所の対応に不備や疑問がある場合、受給者が相談内容に応じた適切な窓口を把握できるよう、相談先の連絡先だけでなく、それぞれの所管や対応できる内容、相談方法をあらかじめ明示する必要があると考える。
【下記添付資料省略】
(添付資料1)令和8年1月5日 陳情者から査察指導員へ転居手続に関する改善要望メール
(添付資料2)令和7年12月22日 ケースワーカーから転居了承に関するメール
(添付資料3)令和7年12月24日 ケースワーカーから請求書の期日に関するメール
(添付資料4)令和8年1月21日 陳情者から医療券の住所変更に関するメール
(添付資料5)令和8年2月6日 福祉事務所課長からの回答メール

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