建設業従事者のアスベスト被害について、令和3年5月、最高裁判所は一人親方を含む国の違法性を認めるとともに、大手建材製造企業10社の賠償責任を認めた。これを受け、同年6月に「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、令和4年1月から給付金制度が開始された。
しかし、同法は国による給付金のみを定め、賠償責任が確定した企業の拠出は規定しておらず、企業側も裁判で争う姿勢を続けている。そのため給付額や制度内容は被害者の全面救済に十分とはいえない。
さらに、同法は最高裁判決の枠組みを踏まえて設計されたため、屋外で主に就労した被害者や国の賠償責任期間直前に現場を離れた被害者は対象外となっており、今後はそのような方も救済されるよう、補償の拡充が求められる。
よって、足立区議会は国会及び政府に対し、建設アスベスト被害者を一人残らず救済するため、アスベスト建材製造企業の補償基金への拠出参加に向けた環境整備を行うとともに、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」を速やかに改正するよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
令和7年10月20日
議長名
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 あて
厚生労働大臣
環境大臣